今回は町田そのこさんの「蛍たちの祈り」を読みました。
花冠と一輪挿しのガラス細工の素敵な装丁とタイトルに惹かれて手にした本。
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あらすじ
蛍がいるあの場所で、幸恵と隆之は秘密を共有する。
そして15年後、同じ場所で予期せぬ再開を果たす。
そこから紡がれる、一人一人のささやかな祈りを描いた物語。
発売日: 2025年07月18日
著者/編集: 町田 そのこ(著)
出版社: 東京創元社
発行形態: 単行本
ページ数: 288p
ISBN: 9784488029296
感 想
花冠と一輪挿しのガラス細工が素敵な装丁とタイトルに惹かれて手にした本。
どんな美しい物語が始まるのかと読み始めました。しかし冒頭から裏切られます。
まるで自分が幸恵になったかのような痛みを感じながら数ページを読みました。なんてひどい。
でも結局、もっとすごい事態になっていて…
60ページほどの『逃亡の夜』だけでも読み応えありでした。
この作品では、親と子の関係の難しさが描かれています。
身勝手な親の「わたしの子なんだから、仕方ないじゃない」のセリフには頭が真っ白に。
いろいろな親の言い訳めいたセリフを聞いたけれど、一番ショックを受けたセリフかもしれません。
『親に感謝せずして、幸せに生きれる道はなし』よく見かけるタイプの格言だけれど、親と子の関係は他人には推し量れない。人に押し付ける人間にはなりたくないですね。
正道が言った「ひとが己の手で終わらせていいのは、己の命だけだよ」は、中学生らしくないセリフにドキッとしましたが、その後、うまく伝えれず少し焦っている彼をほほえましく感じました。
幸恵のおばあさんの「しあわせってのも、そうよ」と言った話が印象に残っています。町田そのこさんらしい言い回しで、とても優しく受け取りました。
今回も読みごたえのある作品でした。
心に刺さった言葉
「絶対に、奪うだけではすまない。命の代わりに大きな罪と臭いを背負って生きなければいけないんだ。その苦しみは、奪って手に入れたものを軽く凌駕する」
「自分の痛みや苦しみを認めるのは、自分自身だよね」
蛍たちの祈り 著者:町田そのこ
(中略)
「誰がどう言おうと、痛い、苦しいと思ったことを自分だけはちゃんと認めて、ここにあると言わなきゃいけない。」
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