今回は井上 悠宇さんの「あなたが犯人だったらよかったのに」を読みました。
優しいかわいい雰囲気の表紙とミスマッチなタイトルが気になって手に取りました。
あなたが犯人だったらよかったのに
高校が舞台。太宰治の人間失格からはじまり、文芸部が絡むミステリー。
井上 悠宇さんの作品(一部)
- 誰も死なないミステリーを君に
- 不実在探偵の推理
目次
あらすじ
「人間失格」をきっかけに仲良くなった夕凪(ゆうな)と才華(さいか)。
だが、出会って半年も経たないうちに才華は自死してしまう。
その死は自殺なのか?それとも殺されたのか?親友の死の原因を探す夕凪。
まもなく彼女宛てに死んだはずの才華からSDカードが届くが、その中に入っていたのは・・・
感想
「正義」と「罰」について考えさせられる作品でした。
作中のあの状況で、才華はどう行動したら正解だったのかわかりません。
自死は良くないことだけれど、才華には才華の理由があってわたしは腑に落ちたし、なにより美しいと思ってしまいました。それだけに、読了後タイトルを見返し、意味を再確認すると切なさが増してきます。彼女たちの会話は素敵で、ずっとふたりでいて欲しかったと・・・。
「呪い」についても語られますが、言葉の呪いは存在すると思います。
実際にわたしも、自分で自分に呪いをかけていることに気づかされました。解除するには行動するのみですね!
心に刺さった言葉
「できないことでも、できるようになること。それを諦めないことが、生きていくってことだと思うの」
まるで「あなたは諦めてない?」と言われてるようで刺さりました。
正義とは、憤りを、怒りをぶつけても良いという正当な理由付けです。けれども、正義の力を振るうことが正しいと、誰が許したのでしょうか。
あなたが犯人だったらよかったのに 著者:井上 悠宇
ハッと気づかされた文章です。世の中に、自分の中にある「正義」。
やたら正当化して使っている時があるかもしれません。
おすすめ本
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