今回はくどうれいんさんの「スノードームの捨てかた」を読みました。
わたしはこういう本が好きなんだと気づきました。
- 初の小説作品集
- わたしを空腹にしないほうがいい(エッセイ)
- うたうおばけ(エッセイ)
- 湯気を食べる(エッセイ)
- 氷柱の声(中編小説)※第165回芥川賞候補作
- あんまりすてきだったから(絵本)
あらすじ
ままならない人生の心がざわつくひとこま。6つの短編集。
- スノードームの捨てかた
- 鰐のポーズ
- 川はおぼえている
- 背
- 湯気
- いくつもの窓
発売日:   2025年05月27日
著者/編集:   くどう れいん(著)
出版社:   講談社
発行形態:   単行本
ページ数:   192p
ISBN:   9784065394816感 想
「もっと早く読めばよかった!」
初めてくどうれいんさんの作品を読みました。白をベースに作品のモチーフの繊細なイラストが描かれた装丁は、本屋の平積みコーナーでとても目を引くんです。本屋に行くたびに目が合っていましたが、ついに読みました。
『スノードームの捨てかた』には6つの短編集が収録されています。
表題作を含め、それぞれ”なにか”を手放そうとする物語だと感じました。
物でも執着でも、捨てる行為は予想以上にパワーを使うんですよね。
まずスノードームを捨てるのは分別がかなり大変なようです。作中に出てくる雪だけがしゃらしゃら舞うスノードーム、おしゃれ!欲しいな!と思いましたが、分別方法を知ってやめました。
感情の類は目に見えない分もっと厄介ですね。
なんにせよ、手放した際の気持ちの在り方が、その後の自分に少なからず影響を与えるように思います。
この作品の見どころは、20代30代女性の内面を繊細に、でも軽やかに描かれているところだと思います(『湯気』のみ男性視点)。オープンエンディング、その後どうなったのかをあえて語らない物語の選定も抜群によかったです。
しかし、私が一番心を掴まれたポイントは、着想がかなりおもしろいところ。例えば、穴を掘る、マッチ棒を拾う、”しんにょう”に注目する、・・・。思わず頬がゆるみます。
くどうれいんさんの作品はスッと自然に物語に入り込めるんです。とにかく文章が軽やかで心地いい。でもその中に少しの不穏さがあって、わたしはこういう本が好きなんだと気づきました。
心に刺さった言葉
たまに「婚活とかしてないの」と他人から言われる違和感は「正解へようこそ」に対する違和感なのかもしれなかった。
「損ないたい」
スノードームの捨てかた 著者:くどうれいん
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